Acting naturally: why design needs ecological psychology
(なぜデザインは、生態心理学に沿う必要があるのか)
私たちデザイナーは、人の目を惹きつけるための様々なTipsを持っている。しかし、人々の関心を集める上でも「自然で、抵抗がないこと・摩擦がないこと」は常に抑えておかなければならない。Marsha氏は、生態心理学の知見を元に「どのように生態心理学のエッセンスをデザインに持ち込めるのか?」といった講演を行った。
アフォーダンスの概念を体系的に説明してもらえ、有意義だった。この概念は、もう少し噛み砕いた上で、プロダクト開発に関わる人全員が理解しておく必要があると感じた。アフォーダンスの概念は、日本だと佐々木正人さんが研究第一人者。またアフォーダンスの概念を積極的に取り入れ、プロダクトを作っているインダストリアルデザイナーは深澤直人さん。
このレポートだけでは理解しにくいこともあるはずなので、こちらの本をおすすめします。
Speaker | Category | Company | 資料 | |
---|---|---|---|---|
Marsha Haverty | Experience Architect | AUTODESK | @mjane_h | slideshare |
講演内容
変化するタッチポイントと生態心理学の必要性
- 「良い」の要素は、多様である。
- Useful(使いやすい)
- Clear(明快である)
- Accessible(アクセスしやすい)
- Usable(適している)
- Resillient(立ち直りがはやい)
現在、私たちは使う主なタッチポイントは、「タッチデバイス」「ボイスコマンド」「文章」がある。
近い将来、その領域は広がっていく。
そして更なる未来では、もっと沢山のタッチポイントが複雑に絡み合い、ユーザ体験を構成することになる。
そうすると、先ほどの Useful / Clear / ・・・などの基準から逐一比較し、選ぶ、ということは複雑すぎてできなくなってくる。
そこで必要になってくる基準が「NATURAL」である。「新しいものか慣れ親しんだものか」、「知能的なものか日常にありふれたものか」などの細かい機能比較でなく、「人間として自然な判断ができる状況にあるかどうか」という判断基準。
現にわたしたちは、日々周囲の環境に影響され、頼りながら生きている。
アフォーダンスとは
例えばこのような場所。私たちは、どのように歩くだろうか?「こんな風に歩こう」なんて考えて山は歩かない。テクスチャー、角度、表面、これからの視覚的情報から知覚し、転ばない歩きかたを決める。
もしこの情報がなかったら?多分、歩けないし、簡単に転んでしまう。
このように、周囲の環境に影響され(=affordされ)て私たちは生きている。
状況は違うものの、私たちは「自然で摩擦のない体験」を体現するため、先ほどのテクスチャーや角度などに値するものをデザインしていく必要がある。これが、アフォーダンス。
このようにボタンとピアノの鍵盤は、どちらも「押す」という行為を支えるアフォーダンスである。
これもそう。この状態をみると人は、「たいへん、蛇口を止めなきゃ!」と行動したくなる。
このアフォーダンスは、James Jerome Gibson によって確率された知覚説。Gibsonはこういう注意喚起もしている。
- Percieve afforance と Engage affordanceは違う。
例えば椅子をデザインする場合、「まさに座りたくなるような椅子」と「無理やり座らせる椅子」は違う。ともJamesは述べている
(おまけ *講演内容ではありません)
たとえば、このように川の石は椅子ではないが、椅子の役割を果たしている。川の石が「座る」という行為のアフォーダンスになっている。
このアフォーダンスをデザインに応用すると、こんなプロダクトができあがる。『深澤直人氏/丸太の椅子』(丸太の椅子、詳しい説明はこちら)
コンセプトとアフォーダンス
しかし、ここで気をつけなければならないのは「コンセプト」と「アフォーダンス」は性質が違うものであること。しかしどちらも人間の行動の根源的なきっかけになるもの。
「コンセプト」はConductorの役割を果たし、「アフォーダンス」はConductorの役割を果たす。
車のデザインは、この両方の要素によってサポートされている。
Conductor / Sculptor
Sculptor
Sculptorとしての働きは、デザインの構造(Structure)を、知覚可能な情報に昇華してユーザとコミュニケーションをすること。
目に見える情報だけでなく、さまざまな要素がある。
- Visual information
- Sound information
- Haptic information(Haptic Designに関するデザイン探求は日本が結構進んでいる。こちらから)
Conductor
Conductorとしての働きは、ユーザとインターフェースの間に「人間のような自然なやり取り」を設計することである。
ある話題(Concept)を聞き、咀嚼し、話す、を人間の場合繰り返していくが、同じようなやり取りが機会ともできるようにするのである。
まとめ
Natural User Experienceの体現のために必要な2つの役割とその違い
- | Conductor | Sculptor |
---|---|---|
行動をどう操作するか | どんな操作/アクションをするかユーザに伝える | 操作上での細かいコントロールをする(押しやすいなど) |
どのようにアプローチするか | 概念的 | 肉体的 |
知覚情報 | 言語や構成などの概念・定義 | アフォーダンスによる直感的な情報 |
特性 | わかりませんでした。。 | - |